友達主催の映画鑑賞会で見ました
2021年の本屋大賞翻訳小説部門を受賞した原作の映画ということで、見れたこと自体は良かったんですが…
率直な感想としてはあまり好きではありませんでした
ただ、好きじゃなかった部分に対して自分的には納得のいく説明がついたのと、当然良いところもあったので、思ったことを雑に書いていきます
当然ネタバレありなのでご注意を
良かったところ
僕個人的に洋画はあまり説明がなく、事実と会話だけを淡々と描くイメージがありますこれが正しい認識なのかは分かりませんが、ともかくそういうこともあってか洋画を見てるとストーリーを追うのに必死であまりキャラを好きにならないことが多いです
対してザリガニの鳴くところは、キャラもストーリーも会話もすっと頭に入ってきて見やすかったです
話の構成も、この先起こる事件が先に示されていることで、カイアの周りの人間関係からこの先どうやってチェイスが死ぬのかに期待を持ちながら飽きずに見ることができました
警察に捕まったカイアの様子は回想で描かれている様子とはかなり異なっていたため、キャラクターの心情の変化も見所なのかな?と思いそちらに集中できたことも大きかったかもしれません
あと個人的に俗世を離れた世界で生きる女の子って設定が好き
「まあ僕は物語それ自体が好きなわけで、アニメだけじゃなくても面白ければ実写も平等に評価しちゃいますよ?🤓」という顔をしていても所詮はキモオタ
ヒロインが好みかどうかで作品を見てる部分が割とあるなと思う今日この頃です
文句1 正しく事実を認識しろというメッセージに対して
作品のラストで首飾りが本の中から見つかったことで、カイアが事件の犯人だったことが判明しましたミルトン弁護士が「湿地の娘」「部外者」というレッテルを捨てて、「自然を愛する心優しい女の子」であると訴えたことこそがレッテルであり、彼女はしっかり湿地の倫理観でチェイスを殺してました
という話でしたね
この子が殺しをやってるはずがない!とか思わないでちゃんと事実を見ようね、というのが作者の意図じゃないかという話で、鑑賞会で一緒に見てたメンバーは盛り上がってたんですが、僕はあんまり納得いきませんでした
理由は考えたところ二つありました
一つは、作中、というかあの法廷でカイアが無罪になるのは仕方ないくらいにはカイアが証拠を残してないからです
この状況で偏見を捨てて事実を見ろと言われても、「見たらそうなるだろ」と思ってしまうというか
決定的な証拠はずっとなかったし、事実ベースで考えたらそりゃ無罪にもなるわなと
事実を知った上で見直したら別の解釈ができるならまだしも、後出しでこれはずるいと思いました
似た感じの映画でゲットアウトを僕がたまたま見ていたのもあったかもしれません
こちらは事実をちゃんと書いた上で演出と潜在的にある差別意識を使ってミスリードさせていたので、判断材料が作者の手によって伏せられていたザリガニはアンフェアに感じたんじゃないかなと(後述する動機の部分はちゃんと描かれてるので、そういう意味ではいいんだけど…)
そして二つ目
僕はずっとカイアに肩入れせずに物語を見ていました
なので(カイアが犯人だという判断材料がないのに後出しはずるい!という一つ目の意見と矛盾するようですが)、判決手前の「蛍はオスを食べるためにおびき寄せることもある」みたいな話をしてたシーンでカイアの犯行をメタ的にほぼほぼ確信していました
なのでラストシーンでネタバラシをされたところで「カイアが心優しい女の子だと思ってませんでしたか?」と言われても「別に…」って感じだったんですよね
蛍を抜きにしても、途中チェイスを殺そうと物陰で石を持って構えるシーンもあったくらいだしそりゃカイアが殺る可能性は全然消えてなかっただろという
ただ、鑑賞会の時に一緒に見てた人が面白いと思ってたのは事実なはずで、それを見る目がない!みたいな否定の仕方をするのはあまりにも
思慮が足りない(僕も別にそんなもの持ち合わせてないので)
というか普通に考えたら多数決的に僕がおかしいので、それは嫌だと色々考えた結果、周りとの感想の違いは、そういう示唆するシーンを無視できるくらいに「カイアに肩入れしてたかどうか」の一点に尽きるのかなと思いました
確認してないからわからないけど
面白かった側の意見として僕の意見に欠けている部分があれば、マジで純粋に知りたいから教えて欲しいです(現状他人の感想を勝手に想像して語ってる結構ヤバ目な感想なので)
文句2 無罪になったカイアのリアクション
もう一個気になったのは、カイアがずっと裁判に関心がなさそうな態度をとっていたのに、無罪を言い渡された時はやたら喜んでたことでしたなんか話が違くない?
これは一応、前述した偏見、レッテルの話を考えるとなんとなく納得がいきました
育ちが違うから、「湿地の娘」だから、という理由で「湿地で生きたい、そうでなければ死んでもいい」という、普通に生きていれば到底辿りつかないような価値観を持っていて当たり前と思って見てしまっていたけど、実は生きたいと願う普通の人間だったというだけのことなのかなと
(そういえば「本当の俺のことなんて誰も知らない」みたいなことチェイスも言ってたような
貝の首飾りをずっとつけてたあたり、カイアのことが好きなのはほんとだったのかもなぁ)
余談の自分語りですが、僕はこういう超越した価値観のキャラクターが好きなので、結構ぐさっときました
まあこれはこれで「実は湿地の倫理観で殺人してました」というオチとは結びつかないのと、こういう言動、行動をしようとした理由もよくわからないのでまだ違和感が残るんですが
所詮雑感想なんで、そのあたりは「いかがだったでしょうか」スタイルで深く考えないまま記事にしちゃいました
すみません
なぜか見落としてた妊娠の話
いつだったか忘れましたが(テイトと再開したあたりかな)カイアがお腹をさすって妊娠を示唆するシーンがありましたねなので、チェイスを殺すきっかけになったのは自分が暴力に怯えながら暮らすことになるからだけではなく、自分が幼少期に体験した地獄を自分の子にも味わわせることになるから
ということになりそうなんですけど
なぜかガンスルーしてました
だから何ってのはないけど、色々調べてたらこの話を見かけて、なんか悔しかったのでとりあえずメモまで…
後書き
とまあ、結論としては作品そのものはそこまで好きじゃなかったものの、語れる要素はそれなりにあって見てて楽しかったです勧めてくれたのにこういう楽しみ方をするのは申し訳ないけど
映画会後の感想会で僕が納得いかなかったところを色々話してたせいで、レッテルがどうのという話に終始してしまったのは惜しかったです
もうちょっと解釈の余地はありそうだなーと思えるのは描かれているものの面白さゆえだと思うので、概ね見れて良かったなーというプラス寄りな感想にしたところで今回は終わります
ではまた〜
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