ヤブキモオタ日記

ヤブキのオタク趣味日記 ジャンプメインで、たまに映画やアニメ、読んだ漫画の感想を書きます

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皆さん、過去にこんなランキングが作られていたことをご存知でしょうか
アニメ!アニメ!で行われた「アニメ化してほしい漫画」読者アンケート
名だたる名作漫画を押し退けて一位になった作品は言わずもがな、「惑星のさみだれ」です
リンクはこちら↓
https://s.animeanime.jp/article/2016/03/01/27234.html
ジャンプ漫画のネームバリューに打ち勝つの素直に凄くないですか?

原作完結から12年、アンケートから6年(もうそんなに経ったんだ…)
それでもアニメ化が決まったらTwitterのトレンドに入るほど根強く支持されてきた「惑星のさみだれ」を、ほぼネタバレなしでお薦めしていこうと思います

ちなみに惑星の読み方は「ほし」です


あらすじ

これは惑星を砕く物語


ある日、大学生の雨宮夕日の前に、喋るトカゲ ノイが現れる。

ノイは夕日に『掌握領域』という超能力を与え、『姫』を探し、魔法使いの使役する『敵』 泥人形と戦い、地球を砕く『ビスケットハンマー』から地球を守る使命を課す。

使命など知ったことかと日常に戻ろうとする夕日だったが、突如現れた泥人形と交戦する羽目に。
絶体絶命の夕日を救ったのは、お隣さんの『姫』朝日奈さみだれだった。
姫と出会ってなお使命を拒む夕日だったが、さみだれからかけられたある言葉から、彼女に忠誠を誓い、魔法使いとの戦いの物語に足を踏み入れることとなる。

次々に襲いくる泥人形
続々と集結する獣の騎士団
平凡な日常と奇妙な世界が交錯する、異能バトルアクション

魅力その1 設定とストーリー

項目を挙げてざっくり語ります

ジャンル

あらすじは僕の趣味で書いてるようなものなので、改めてもう一度。

舞台は現代(連載当時なのでちょい昔。アニメだと改変されてるかも?)の超能力ファンタジー。
バトル、日常、恋愛、なんでもござれの作品です。
死を描写すること自体に躊躇いはないんですけど、雰囲気は結構ゆるくて、面白さとキャラの魅力を優先したような作風です。

セリフなんかも見せ場ではかなり大仰な言葉を選んでるので、僕のようなセリフらしいセリフが好きな人にとってはいいかもしれません。

構成力

これは本当にすごい。
読み直すたびに思うんですが、こんな序盤から面白かったっけ?ってなります。

縦軸と呼ばれる物語の進む大きな方向(わかりやすいのは「海賊王に俺はなる」みたいなのです)をしっかりと初めに提示して、さらに、常に一つ先の展開に向けた小さな縦軸(今は何をすべきか、誰がどんな悩みを抱えているか、誰に注目すべきか)を提示し続ける作りになっています。

要するに、どこを読んでも次が読みたくなる構成になっていて、かつどのエピソードにも魅せ場があって面白いのです。

伏線

読み直したくなるような伏線の数々にも注目してほしいです。
先の展開を少しずつ提示しながら話が進んでいくと言いましたが、それは直近の展開への前振りだけではありません。
かなり先にある展開や、クライマックスで効いてくる伏線は所かしこに散りばめられています。
独特な設定に、練り込まれたストーリーが説得力を持たせていると思います。

設定

設定については僕の趣味ですが、あらかじめある程度のキャラクターの登場が担保されてる設定(王下七武海みたいな。今回だと獣の騎士団)っていいですよね。
また、掌握領域という共通の能力と、創意工夫から生まれる固有の技という能力体系。
こういうのが好きな僕みたいなオタクならワクワクしてしまうこと請け合いです。

パンチラ

書くか迷ったんですけど、やっぱ書こうとかなと。
なんかこう、作者がパンチラという概念自体に魅力を感じてそうなとこが面白いです。

こういう俗で、今となっては懐かしい面白さは作中に散りばめられてるのでそういう小ネタも楽しめるかと。


魅力その2 同居する日常と非日常

さて、1日目の項目ではありきたりなセールスポイントをまとめましたが、ここからは大きな項目として取り上げられそうなところを語っていきます。

さみだれの特徴の一つは、バトル漫画でありながら、他の漫画と比べて日常パートの持つ意味がものすごく大きいことです。

2022年現在で流行ってるものと比較すると、鬼滅や呪術は日常パートはあまり重要ではなく、ギャグと説明がメインになっていると思います。キャラクターの本質は戦いの中で回想として振り返られることが多いんじゃないでしょうか(特に呪術に関しては僕は信者化してると言っていいくらいのファンなので、これが悪いというわけでは決してないと思ってます)。

一方さみだれはというと、キャラクターの本質はあくまで日常の中にあり、騎士団という立場は変化のきっかけ、バトルはその結果です。
バトルという名の非日常のための日常ではなく、あくまで日常は日常、非日常は非日常として区分けがされている印象を受けます。

獣の騎士団はあくまで魔法使いから惑星を守る臨時の騎士団です。彼らが生きる場所はあくまで日常であり、日常を生きるために変わる場所が非日常なのです。

ですがあくまでこれは一部のエピソードの話です。
バトルと日常の関係が、厳密にいうと違うかもしれませんが、逆転するような話もあります。
この、日常と非日常の切り替えと相互干渉こそが、この作品の醍醐味かなと思います。


魅力その3 かっこいい大人と成長する子供

この作品を通したテーマと言えるものだと思います。
獣の騎士団内はもちろん、騎士たちの日常には当然、それを取り巻く人間がいて、彼らの年齢は決して一様ではありません。

作品の中では、こうした年齢の違うキャラ同士を描くにあたり、度々「大人とは何か」という問いかけがなされます。
これが面白い。
答えのない問いかけですが、キャラクターがキャラクターごとに何かしらの答えを出していて、それが結構納得いって僕は好きです。

対して子供は、そんな大人を見て反抗したり憧れたりして成長して、いつしか大人になります。その変化の過程は作中でしっかりと描かれています。

僕は、何かしら人生の教訓になるような作品は思い入れが深くなると思うんですが、惑星のさみだれもその一つです。
大人とは何かという問いかけは、ストーリーとしては小さなエッセンスかもしれませんが、この漫画をただの面白漫画にしていない要因の一つだなと思います。

おまけ その他の水上作品紹介

とまあ、ネタバレしない範囲でさみだれを語るのはかなり難しいので、
ここからはさみだれに触れるのは諦めて、原作者水上悟志先生の他の作品について触れていきます。


先生の作品は世界観が共通してるってわけじゃないんですけど、根底にある考え方は似通ってると思います。

既に知ってる人は「あ、これの人だったんだ」
知らない人も、「こんなの描ける人なら他のも見てみようかな」と思ってもらえたら嬉しいです

サイコスタッフ

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水上先生の名刺がわりのの作品です なんと下記のリンクから無料で読めます。
https://www.mangaz.com/book/detail/63721

絶版になった漫画を無料で読めるようにしてくれてるサイト(ちゃんと広告料とかは作家に入るらしい)に載せるためにわざと絶版にしてもらったとかなんとか。
しかも一巻完結で読みやすい。

あらすじは
超能力者の主人公、柊光一を、宇宙人の桜木梅子が「サイコスタッフ」と呼ばれる超能力者の組織にスカウトしにくる。
光一はそれを拒否するので、梅子はあの手この手でスカウトしようとする…と言った感じ。

この作品はもちろんこれ単体としても面白いんですが、さみだれの入門編としてももってこいかなと思います。
さみだれでは大人と子供の対比されているように、今作では天才と凡人の対比を軸に物語が展開していきます。
また、短いながらもだんだんと変化するキャラの気持ちを追うことができる描写に、恋愛要素
あとパンチラ(作品の裏テーマは1話1パンチラ)。
詰め込まれてるものや構成はかなり近いかなと思います。

ま、ただで読めて短いのでまずは読んでみてほしいですね。
僕は水上ヒロインの中だと梅子が1番好きです。
水上作品縛りを解いても上位に食い込むくらい好き。


プラネットウィズ 

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この中だと1番有名なのでは?と思うのはこのプラネットウィズ。
アニメオリジナル作品なのですが、水上先生が描いたネームを元にアニメ化され、コミカライズは先生本人が手がけています。
僕の周りでも評判良かったし、僕もめちゃくちゃ好きです。

尺は1クール12話
話としては、謎の巨大兵器が襲ってくるのに抗うグランドパラディンが「念動巨神装光」で戦うという、ロボアニメフォーマットで作られたものなんですが、
そこに記憶喪失の主人公の黒井宗矢と、彼を世話する謎のメイド銀子、「先生」と呼ばれるマジで謎の猫が絡んでいく感じになってます。

確か、この作品のリアタイ実況中に水上先生が「漫画家としての自分のパラメータの中で1番自信があるのは構成力」と言ってたんですが、それを計り知るにはもってこいな作品かと思います。
放送中に、「このアニメは12話で一期と二期と劇場版をやり切った」と言われてましたが、それくらい話の密度がすごい。
それでいて駆け足に感じないし、先の展開への仕掛けやキャラの掘り下げも欠かさない不思議な作品です。

熱いシーンは言わずもがななんですが、個人的には先生のシュールな見た目を生かしたギャグがシリアスな戦闘中に挟まるのがすごく好きでした。

漫画もいいけど、アニメのBGMも熱くて好きだったからそっちも見てほしい(サブスク入ってるならそっちの方が見やすいかな?大体のとこで配信されてるし) 。
確か水上先生はアニメが好きなのもあって自分の作品はアニメを意識してるとどこかで言っていたはずなんですが、流石アニメ映えもバッチリでした。

スピリットサークル

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この辺りからは、代表作の紹介って感じです。
…が、スピリットサークルは6巻完結でかなり読みやすい。

あらすじは、主人公桶屋風太は、前世からの因縁のあるヒロイン石神鉱子の持つ「スピリットサークル」により、6度にわたる過去生を見ることになります。
過去と短期連載漫画を6回読むようで、7回目の人生である現代に話が収束していく、他の作品にはない読み味の漫画です。
現代版火の鳥と称して紹介する人もいました。

面白いのは間違いないんですけど、特殊な構成から評価は分かれる作品だと感じてます。
普通の読み味の漫画に飽きた漫画好きの方には間違いなくおすすめ。
漫画好きだけど、僕みたいなエンタメよりのわかりやすいやつが好きな人は別のところから触れるのがいいかなと思います。

ちなみに僕は第六章が好きです

戦国妖狐

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こちらは水上先生の漫画の中だと1番長い作品です。とはいえ全17巻。

あらすじは、世直し姉弟を名乗る姉、”妖狐”たまと、弟、”仙道”山戸迅火の二人が悪さをする妖怪退治をする話です。
とは言うものの、ちょっとネタバレになりますが、この作品にはもう1組主人公とヒロインがいて、そちらの話がメインになります。

他の作品と違って長く続けようとして始めた連載らしく、読み味は他とちょっと違います。
僕の思う水上作品の魅力は薄め(文字通り尺が長いから薄まってるだけで、ないとは思わない)なんですが、話のフォーマットは1番王道に近くて読みやすいと思います。

主人公が二組いるからこその熱い展開が魅力。
ラスト、主人公の行き着いた先の描き方なんかはかなり好きでした。

二本松兄妹と木造渓谷の冒険

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これは好みで紹介させてもらいたく…
これもサイコスタッフ同様一巻完結の読みやすい漫画になってます。無料では読めませんが。

こちらは戦国妖狐の現代版みたいな感じで、異能を持つ二本松兄妹、兄の朱彦と妹の雪緒が怪異絡みの事件を解決する話です。

ぶっちゃけた話、僕は緋弾のアリアみたいな、戦闘するために仕方なくちょっとえっちなことしなきゃいけないんだ!って感じの作品好きなんですけど、この作品は能力を使うトリガーがキスです。
この時点で好きです。

話的にも一巻でまとまってて面白いし、二本松兄妹の魅力も引き立ってた続きが読みたくなる作品です。

水上先生曰く、不定期で一巻完結の話が描けたらいいなと思い、そのたたき台として描いた作品らしいので、続きがあるかもしれません。


押切蓮介先生のチャンネルで水上先生と対談した時に二本松兄妹がどうなるか聞いてみたんですが(作家追いしてるくらい好きな漫画家なのでコメント拾われてマジで嬉しかったが故の自慢)、現在はまだ描く予定はないとか。
ラブコールと共に質問したので描いてくれたら嬉しいんですけどね…

ちなみに以下の配信がそれです。三時間あります。
https://youtu.be/IREhZkc_66I

後書き

まだ紹介してない作品もありますが、入門編としてはこんなところではないかということで。
まだ半年先にはなりますが、話題になった今を機に水上ワールドに触れてみてはいかがでしょうか。
1作品が短くて、それでいて満足度が高い作品を描く人なので本当におすすめな漫画家です。

…だんだんさみだれのおすすめからずれてきたのでここいらで締めようと思います。
色々紹介してきましたが、水上作品に触れるきっかけになってた惑星のさみだれは、僕が持ってる漫画でも1,2を争うレベルで好きな漫画です。(厳密にはその日の気分によって僕の一番好きな漫画になり得る漫画が10作くらいあるけど、さみだれは間違いなくその一つです)
「ま、そんなに言うならとりあえずアニメくらいは見てやるか」と思ってくれれば記事を書いた甲斐があるので嬉しいです。
是非、僕と一緒にアニメさみだれを観てかっこいい大人になりましょう。

それではまたどこかで!
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